朗らかに潤すTRY2021

今年も「朗らかに潤すTRY」を発売することとなりましたのでご案内させていただきます。今回仕込みに使用した芋は「花魁」という戦前からある古い品種の芋で、真っ白な肉色の中心だけぼんやりと紫色をしており、その名の通り妖艶な見た目の芋です。

 

挑む(CHALLENGE)のではなく、試みる(TRY)

この商品は誰でも参加可能なWEB投票によって選ばれた甘藷を自家栽培し仕込んだ芋焼酎です。毎年9月の一ヶ月間その時に作付け可能な品種(約40種)の中から投票によって選ばれます。過去の仕込みで使用したことのある品種を除外することで、私たち兄弟にとってはどの品種が選ばれても栽培・加工・醸造・蒸留すべての工程が未体験のものとなり、トラブルも多いですが試行錯誤しながら造ることで、農業・酒造業のどちらもスキルアップに繋がり、今後の商品開発においてもとても役立つ取り組みだと感じています。

・Let us TRY !

 

そしてこの商品の最大の魅力は企画段階から誰でも参加できるということ。

投票だけでなく、植付け・収穫・仕込みの参加可能です。昨年は10名ほどの方々にご参加いただきました。また、今年はすでに来季用に「シルクスイート」という芋を作付け済みで、9月には来年用の投票を行いますので、是非ご参加ください。

 

 今回使用した「花魁」という芋は戦前からある古い品種の芋で、その生産性の悪さや耐病性の弱さなどから徐々に栽培されなくなってしまった品種で、現在栽培している生産者はほとんどいません。私たちも育成に非常に苦戦し、他の品種に比べ2割ぐらい収量が落ちてしまいました。しかしながら白芋系のスッキリとした味わいの中に、アントシアニン由来のベリー系の甘酸っぱさを感じる、とても美味しい焼酎に仕上がり、非常に満足しております。個人的にはオンザロックにすることでより強く甘みを感じることができこれからの季節にちょうどいいと感じました。

 

商品名  朗らかに潤すTRY 2021

原材料  甘藷:自家栽培 花魁(田野町 十文字)

     米麹:黒麹(宮崎市産 夏の笑み 新米)

度数   25度

容量   1500ml

価格 3,300円(税込)

上記ラベル文章

 

朗らかに潤すとは

創業から100年以上に渡り、代表銘柄である「旭萬年」を受け継いでまいりました。
代々受け継いできた銘柄であるからこそ変えられない、変えてはならない、守るべき味わいもあります。
いつ飲んでもしみじみ旨い、「旭萬年」はそんな変わらぬ美味しさを伝える銘柄でありたい
と思っています。
良くも悪くも変化を好まない人は多く存在します。
私たち兄弟も様々な経験を積み技を磨いてまいりましたが「旭萬年」の枠からはみ出ぬよう細心の注意を払いながら造りを続けてまいりました。
しかし、少しずつではありますが気候・環境が変わり、それに合わせ農業・醸造も変化していかねばならないと感じるようになった時、当酒造場のフィロソフィーである「風土で醸す」という想いは変えず、兄弟二人で様々な試みに取り組みながら、新たなステージを目指すことに
しました。
兄(幸一朗)と弟(潤也)のどちらが欠けても再現することのできない「旭萬年」ではない新たな銘柄を二人で共に造り上げました。
二人の名を象徴する文字を一字ずつ取り「朗らかに潤す」
挑む(CHALLENGE)のではなく、試みる(TRY)
何かに挑むという固い感じではなく、あくまで自然体で様々なことを試
みるという少し緩めのスタイルで取り組んでいます。
この商品は2020年9月に行ったWEB投票(お芋総選挙2020)で選ばれた「花魁」という
品種で仕込んだ芋焼酎です。
本来、遣り手が自ら追い求める味わいを再現するために原料を選定すべきなのでしょうが、原料の栽培から始めることが当たり前である当酒造場では、病気に強く青てやすい品積を選んでしまう傾向にありました。
しかし、それを飲み手の皆様にゆだねることで今までにない味わいが生まれるはずです。
そして、それは私たち兄弟の農業-醸造の技術と経験の向上に繋がると信じています。

 

Ecology & Recycle
蒸留後の醪は国が定める産業廃棄物の「廃酸」にあたり、産廃業者に委託し処理してもらわなくてはなりません。
私たち兄弟が子供のころは、肥料として畑に散布することができ、作物を育て、収穫・加工し、焼酎粕を肥料として田畑に還元し、再び作物を育てるという循環型のシステムがありました。
当酒造場では可能な限りその当時の循環型のシステムに近づけるため、委託処理の5倍ほどの処理コストがかかりますが、自社設備を使いリサイクルに取り組んでいます。
それは私たちが育て産み出したものには、何一つ無駄なもの、捨てるべきものはないということを証明したい想いと、古き良き時代の農業のあり方を伝えていきたいからです。
「風土で醸す」とは酒は現在のように発酵のメカニズムも分かっていない、電気もなく機械
的な温度管理もできない、ましてや原料の物流さえもままならない時代から造られ続けてきました。
他に選択肢もなくその土地で採れた果実や農作物を原料に、その土地の気候を上手く利用しながら常温で発酵させていたはずです。
もちろん酵母なんて言葉も存在していない時代なので、自然界にいる野生酵母が勝手に入り発酵していました。
ちなみに日本で酵母が認識されたのは明治時代に入ってからで、それまでは肉眼で見ることが出来る麹菌がアルコールを造っていると考えられていたようです。
私たちが考える酒本来の姿とは、その土地で採れた原料と水で、その土地の微生物の力を借りながら、その土地の気候を上手に利用し酒を醸すことであり、環境に依存しながら気候・風土で造られた酒の事です。
私たち兄弟は、「ここでしか、私たちにしか造れない」焼酎造りを目指
しています。
自家栽培花魁宮崎県田野町十文字
収穫日2021年10月19日〜2日
令和3年産 夏の笑み|宮崎県宮崎市契約栽培
精米日2021年10月7日
麹菌|河内菌黒麹ゴールド
酵母野生酵母(歲付き.外気・土由来)
原材料名|甘諾(宮崎県産).米麹(宮崎県産米)
アルコール分|25度 内容量|1500ml
製造者 有限会社渡邊酒造場
宮崎県宮崎市田野町甲2032-1